切ない– category –
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恋愛小説No.24「あなたと結ばれるわけにはいきません」
婚約者のロバートに呼ばれた私が彼の部屋の扉を開けると、そこには申し訳なさそうな顔をした彼が立っていた。 「ロバート様、話とは何でしょうか?」 私が問いかけると、数秒の後、彼は口を開いた。 「実は、俺……結婚することになったんだ」 「えっ!?」 ... -
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恋愛小説No.22「あなたのためを想えば」
ノックの音で私が部屋の扉を開けると、苦しそうな表情のアレックスが立っていた。 「モリス……君に大事な話があるんだ。中へ入れてくれないか?」 私は彼を部屋へ招き入れ、ソファーへと座らせた。そして彼の向かい側に腰を下ろすと、思い詰めたような顔で... -
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恋愛小説No.20「この現実が夢であったなら」
「そろそろ終わりにするか」 それはちょうど日が落ちかけた時だった。オレンジ色よりやや暗い空に、薄い月が身を潜めていた。 「終わり……」 疑問に近い驚きが私の体中をめぐり、感覚を麻痺させた。彼はというと、私とは対照的で、凛とした表情で立っていた... -
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恋愛小説No.15「婚約破棄は撤回してください!」
「エリザベス。お前との婚約を破棄……」 「それは嫌!!」 アレンのその言葉を受け、私はつい大声で叫んでしまった。 部屋に婚約者のアレンと私しかいなかったのが不幸中の幸いというものだろう。 誰かに聞かれた心配もなさそうだ。 「な……なに!?」 アレ... -
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恋愛小説No.14「愛する人よ、さようなら」
郊外の墓地に書かれているのはアラルド・ゼイモスという名前。彼は私の婚約者だった人だ。 夕暮れ迫る少し冷ややかな時間。私は墓に手を合わせた。 途端にアラルドとの記憶が脳裏を駆け巡る。 「ソフィア。お前の結婚相手が見つかった。ゼイモス伯爵家の子... -
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恋愛小説No.10「竜との秘密」
その竜は翡翠の眼を持っていた。私がお父様から貰うどんな宝石よりも、北の国から見える星空よりも、それは美しい輝きを放っていた。 「綺麗……」 初めてその竜の瞳を見た時、感動で私は数十秒動けなかった。口をぽかんと開け、竜から見ればバカに見えたか... -
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恋愛小説No.4「夜の噴水」
「え?」 最初に出てきた言葉は悲しみではなく、驚きだった。今まで生きてきて聞いたことのないような奇妙な声を私は出していた。 「そ、そんな……」 次いで溢れるように出てきたのが、悲しみ。私は両の手で顔を覆い、煌びやかな爪を外に向けた。目からこ... -
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恋愛小説No.3「消えた最愛」
太陽の強い光に昼寝を邪魔され、私はゆっくりと瞼を開けた。体を起こし、陽光と体の間に手で影を作る。生暖かい風が頬をかすめ、私の横髪を揺らしていた。 「はぁ」 浅く短いため息をはくと、私は気持ちを少しだけ落ち着けた。 「そろそろ戻らないと……お... -
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恋愛小説No.2「愛する人が幸せならそれで」
「……結婚してほしいの」 私がそう言うと、彼は困ったような表情をした。 「結婚……」 それは私がいつも見る彼の姿ではなかった。動揺し鼓動が速くなっているのは、誰が見ても明らかだった。 「少し……考えさせてくれないか」 彼はそう言うと、窓から真夜中の... -
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恋愛小説No.1「人生を捧げる相手は決まってます」
「悪いが婚約を破棄してもらいたい」 唐突に告げられたその言葉に私は身動き一つ取れなかった。 今のは私の聞き違いかしら? 父は婚約を破棄って言ったかしら? 疑問が頭を埋め尽くし、困惑を露わにする。 「えっと……どういうこと……ですか?」 息をするの...
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